消えゆく余部鉄橋
香美町のシンボルである
余部(あまるべ)鉄橋は、トレッスル橋として日本で一番高く、明治の鉄道建築としても貴重なものです。
消え行く余部鉄橋に向かっています。
地図
余部
京都府舞鶴市から鳥取県岩美町まで海岸沿いの町・集落を結んでいる国道178号線を走っています。豊岡から、香住を通り抜け山間部から坂を下っていくと、かすかに海が見えたと思った瞬間、余部鉄橋が現れました。
500~600m手前の路肩に自動車を止めて、鉄橋を眺めると、この巨大な人工物は、余部集落をまたいで2ツの山をつなぐように建てられています。徒歩で近づいていくと、そびえたつ建造物は益々威圧的になります。間近で見上げると、三角形をつなぎあわせたトラス構造をしており、無骨な鉄骨が幾何学状に配置された塔が何基も並んでいます。この異様な人工物は、山と海があるのどかな集落の風景には決して似合わない物体ですが、長年この土地に住み着き今では許してもらったのでしょう。違和感がありながら、なぜか風景に溶け込んでいました。
この余部鉄橋は、松本零士氏代表作の「銀河鉄道999」を彷彿させ、夜間、列車が空中に浮いているように見えるとして多くの鉄道ファンを中心に知られております。{
銀河鉄道999
}
案内板には、施工明治42年、橋脚の高さ41.5m、長さ約310mとの説明がありました。 当時の強度計算では、三角形を単位とした構造骨組(トラス構造)により近似的な解析をしたのでしょう、また、あまりにも架橋が高いので挫屈も心配したのでしょう、その他風・地震など考慮して、安全率を高く見込んだ結果、310mの間に11基もの橋脚で設計されたのです。あまりにも橋脚の数が多くて、この田園地帯の風景に馴染むと言うより、威圧感を与えていました。
当時、部材の接合は、リベット工法でした。
現在では滅多に見られないやっかいな施工法です。部材に穴をあけ、リベット軸を差し込み、両側または片側から叩いてかしめていくのです。この作業は熟練を要します。1本つづ真っ赤に熱しては
放り上げ、上で職人が受け取り、素早く打ち込んでいく作業です。
リベット数にして六万八千本にのぼり、大工事であったことが推測されました。その上に、リベット構造の保守点検も大変です。1本つづリベットを確認しながら頭が外れていれば打ち直しが必要になります。
風景には見えないが、その風景の裏側に潜んでいる先人達の苦労を思い浮かべていました。
この鉄橋は、すでに100年経過し、老朽化が進んでいることや、昭和61年の大惨事以降、強風が吹けば列車が止まり、山陰本線の運行ダイヤが大幅に乱れの原因にもなり、架け替えが決定されています。地元の香美町にとって、大切な建造物の架け替えは残念ですが、住民の安全などを考えればやむを得ない判断と思います。
2010年秋頃に完成予定の
新橋の架け替え工事が始まっていました。現鉄橋の南側には、PC橋(コンクリート橋)が新設され、タワークレーンによる作業も稼動中で、新旧入り混じった橋梁風景となっていました。
このような訳で、
余部鉄橋もいよいよその役目を終えることになりました。
余部鉄橋の立て替え工事

PC橋(コンクリート橋)の工事現場

余部橋梁の案内板

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