今津の座禅草まつり
湖西ネイチャークラブより送られた資料で、2012年2月26日(日)、「今津ザゼンソウまつり」が行われることを知った。「発熱する植物ザゼンソウに学ぶ」という演題で講演もされるようだ。
この日、湖北では雪模様であったが、妻を誘って湖西道路161号線を通り高島市今津町に向かった。 小浜方面へ行く国道303号線に入って直ぐのところの右側に「座禅草群生地」の案内板があった。弘川地区住宅街の駐車場に降り立つと、ここは肌寒く雪も降りしきり底冷えしていた。それでも、真っ先に春を告げるザゼンソウが咲くところである。
ザゼンソウと云えば、人里から離れ奥深い山里にひっそりと咲いている山野草と決めつけていたのだが、意外にも住宅街にあった。周囲を孟宗竹の竹やぶに守られた一角に、伏流水が湧き出している1千㎡ほどの湿地帯にザゼンソウが自生していた。 このような住宅地域における緑地であるので、1989年「緑地環境保全地域」として指定されて保護、保全されていた。
周囲には周遊歩道が設けられ、中央には湿地を渡る木道が備えられていた。ここは、日本最南端に位置する「座禅草」群生地として、人の手が加わり、管理された自生地であった。言い換えれば、本来自然の姿をした野性味あふれる自生地ではなかった。

今年は大雪に見舞われ、高島市で31年振りの自衛隊出動もあった。2月中頃までは雪に覆われていたが、この1週間で水の流れや、雪解けの場所で株が見られるようになったようだ。
例年ならば、ザゼンソウは、そろそろ見頃を迎える時季だが、ザゼンソウは雪に埋もれ、顔を出している姿は、ほんの僅かしか見られなかった。
日本では、ザゼンソウは岩穴に僧侶が座禅を組んでいるように見えるので、それで座禅草という名前が付けられた。ところで、英語では Skunk Cabbage(スカンクキャベツ)の呼び名があるらしい。和名にくらべて この違いは相当なものだ。
「開花時に悪臭を放つことからスカンクがつけられ、その葉の形がキャベツのはっぱと似ていることに由来している」と岩手大学大学院連合農学研究科教授伊藤菊一氏が話されていた。
いずれにしても、この花の形は、近代的な洒落た姿でなく、どちらかと云えば、野暮ったい古代の植物を彷彿させる風貌である。

講師は、「座禅草は、日本海を取り囲む北海道・本州・朝鮮の各地域と遠く北米東部にも隔離分布している。遥かに遠い時代の氷河期に出現した植物の遺存種」であると。以前地球上で繁栄した植物であるが、すでに絶滅の道をたどっており、特別の環境内にわずかに生存しているものである。
「寒冷地に分布しているが、自ら発熱しながら雪を融かして顔を出し、ほかの花々に先んじて花を咲かせる特殊な能力を持っている。気温が下がるとCO2ガスの発生量が多くなり、逆の場合にはガス量が低下する。動物的な動きをする植物である」と説明された。
「研究を始めた当時は、氷点下5~10℃の外気温のもと、一人寒さに震えながらザゼンソウの温度測定を行っていた。仏炎苞や葉が凍結するような低温でも、発熱部位である肉穂花序はほぼ20℃内外の温度を保つことを判った時の感激は、今でも忘れられない」と付け加えられた。伊藤菊一氏は、この座禅草に魅せられてしまい、「ずーっと」研究されているようだ。それだけ、含蓄ある講義で聞き入ってしまった。
伊藤菊一教授は株式会社チノーと共同開発して、この植物の発熱システムに注目し、世界で初めて植物が持つ温度制御アルゴリズムを用いた温度調節計を開発し日米で特許を取得された。
従来温度制御と云えば、ほとんどPID制御が主流であった。この制御、設定した目標温度になかなか到達しないし、設定より高くなるオーバーシュートしたり、安定するまでの時間がやたら長くかかる。また、設定作業も面倒な作業であった事が思い出される。座禅制御では、制御量の変化から“その到達値を予測”して制御を行い、最適な操作量を出力するアルゴリズムであるため、整定時間を保ちつつオーバーシュートを発生し難い、という大きな特長をもっているようだ。だが、使ったこともないので詳細は不明。
最後に、「寒冷環境で発熱し自らの体温を調整できる座禅草は自然からの贈りものです」と最後を締めくくられた。
滋賀県には何箇所かザゼンソウが自生しているようだが、ハッキリしている自生地はここ「高島市今津町弘川地区」と「長浜市余呉町」の2ヶ所に群生地がある。その内、余呉町の中河内地域のザゼンソウを観察しょうと思っている。ただ、場所が特定できていないので、山野草に強い山の仲間と探索しょうと思っている。
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